難病患者が闘病ブログで稼ぐのは茨の道

2021年8月1日日曜日

ブログ運営

難病持ちのブロガーであれば、誰しも一度は「闘病ブログは稼げるのか?」という疑問が頭をよぎると思う。

かくいう僕もその一人。何しろ初めて開設したブログは、持病の潰瘍性大腸炎をテーマにしたブログだった。(現在はクローン病患者として治療を受けているが、当時の診断は潰瘍性大腸炎だった)

しかし、闘病ブログは長くは続かず、最後は完全に削除してしまった。今ではメインブログの中で、たまに病気関連の記事を書く程度である。

タイトルに「茨の道」と書いたが、僕が闘病ブログをやめたのには、単なるネタ切れや飽き、儲からない以上の理由があった。

この記事では、実体験を踏まえつつ、難病患者が闘病ブログで稼ぐことについて考えていきたい。

闘病ブログは患者の特権?

闘病ブログは患者にしか書けない。これが、「難病」のブログテーマとしての最大の強みである。

もちろん、医学的な知識があれば、病気についての記事は書ける。しかし、日常生活における悩みや症状・治療のつらさは、病気になってみないとわからない。

そもそも人に病気の大変さが伝わらないのが一番の悩みだったりする。

身近で世話をする家族や介護者なら可能かもしれないが、お金目的のブロガーやアフィリエイターが二次情報だけで闘病ブログを運営するのは無理があるだろう。

参入障壁の高さで考えると、患者目線の闘病ブログは、プロの競合相手がいない理想的なジャンルと言える。

書ける人も少ないが、読む人も限られる

書ける人数が少ない闘病ブログは、一見魅力的だが、ひとつ重大な落とし穴がある。

ちょっと冷静になって考えてみてほしい。闘病ブログは、一体誰が読むのだろうか?

そう、患者にしか書けない闘病ブログは、読者も患者やその家族など、非常に狭い特定の層に限られるのだ。


たとえば、「英語学習」がテーマのブログであれば、英語は日本人ならみな学校で教わるし、趣味や仕事の都合で学び始める人も多く、誰もが読んでくれる可能性がある。

それに対し、闘病ブログは、病気に直接かかわりのない人は、よほどの変わり者でない限り、あえて読もうとは思わない。

ターゲットの母体数が小さければ、当然見込めるアクセス数も少なく、広告収入で稼ぐという観点からすれば、致命的な弱点である。

「せっかく難病なんだから……」と、闘病ブログにこだわってしまうと、進むべき道を誤りかねない。想定される読者数については、しっかり意識しておくべきだろう。

闘病ブログの収益化方法は?

一般的にブログで稼ぐには、「アドセンス」と「アフィリエイト」の2通りの方法がある。

「アドセンス」とは、Googleが運営する「Google AdSense」のこと。ブログに貼った広告を訪問者がクリックするたびにサイト運営者に報酬が入る仕組みで、収益を伸ばすには大量のアクセスが必要となる。

先に述べたように、闘病ブログで見込めるアクセス数には限界があるため、アドセンスは不向きだと思われる。

それ以前に、アドセンスは審査が厳しく、広告を貼れるようになるまでに心が折れる可能性が高い。(僕はアドセンス合格までに2年かかった)


となると、選択すべきはアフィリエイトということになる。

アフィリエイトは、サイトで紹介した商品・サービスを読者が広告経由で購入すれば収益が発生する。1件あたりの報酬が高額な商材を扱えば、アクセスが少ないサイトでも稼ぐことができる。

しかし、闘病ブログの読者に、一体何を買ってもらえばいいのだろうか?

たまに怪しげなサプリや青汁を宣伝しているサイトを見かけるが、そんなうさんくさい記事、僕は絶対書きたくない。

本来アフィリエイトは、最初から購買意欲のある人に向けて記事を用意するのが効率的なやり方で、ただ文章を読みに来た人を無理やり商品の購入まで持っていくのはハードルが高い。

結局、身の回りの商品をレビューして、Amazonや楽天の物販で稼ぐのが現実的な線になると思うが、それでは収益は微々たるものだろう。


そもそも、闘病ブログでアフィリエイトが行われていること自体、読み手からするとかなりの違和感(というか嫌悪感)がある。

読者の信用を落とさずに収益を得るには、他のジャンルとは違う新しい手法を編み出さなければならない。

残念ながら、闘病ブログで稼ぐ真っ当な案が、僕には思いつかなかった。いくつか倫理的にグレーな考えは浮かんだけれど、実行に移されると困るので、ここに書くのはやめておく。

身バレのリスク

お金になるかとは別に、闘病ブログを運営するのは精神的な負荷がかかる。

まず、どこまで自分の情報を明かすのかが難しい。治療経過や服用中の薬について下手に詳しく書き過ぎると、身バレの危険性が出てくる。

難病患者はそんなに多くないので、「この病気はもしかして○○さん?」などと勘繰られてブログを精査されると、個人を特定されかねない。


なにより恐ろしいのは、通っている病院の先生や看護師さんに、ブログの存在を知られることだろう。

医療従事者は総じて忙しいので、可能性としては低いものの、もし診察時に「ブログ読みましたよ」なんて言われたら顔面蒼白である。

実は、僕が最初に作った闘病ブログを閉鎖した理由がこれ。実際にバレたわけではない(と願いたい)が、あるとき、ふと「ひょっとしたら先生にみられているかも」と心配になり、ブログを完全に消去するまでドキドキが止まらなかった。

難病患者は病院とは長い付き合いになる。不安を抱えながら通院するくらいなら、闘病ブログなんて書かない方がマシである。

心身ともに疲弊する

身バレのリスクの他にも、闘病ブログには気を遣うポイントがたくさんある。

たとえば、薬の効果について書けば薬事法に引っかかるおそれがあるし、「○○の手術回避!」と喜びを表現すれば、その手術を受けた人は読んで傷つくかもしれない。

他のジャンルと違って、医療系の情報は非常にデリケート。

考えすぎかもしれないが、僕はいつも内心びくびくしており、指摘を受けたら即刻削除するつもりで記事を書いている。

また、病気による苦痛や不快さを文章にするのは、心身ともに消耗する作業で、とてもじゃないが、難病患者におすすめできるものではない。

体調に配慮して収入を得るなら、もっと他の健康的な手段を探すべきだと思う。

閉鎖したレジェンドブログ

ここまで読んでいただければわかるように、闘病ブログはお金を稼ぐのに適さない、というのが僕の結論だ。

しかし、かつて一つだけ、僕が出会った中で別格の闘病ブログがあった。

クローン病をテーマにしたブログで、キーワードやSEOを意識していない、いわゆる「日記ブログ」にも関わらず、素人目に見ても明らかに「強い」ブログだった。

広告の貼り方は不器用でぎこちなかったが、おそらく相当稼いでいたと思われる。


ところが、そのブログはある日突然閉鎖してしまった。

彼女(プロフィールは女性だった)は終盤の記事の中で、度々「クローン病とは違うテーマでブログを書きたい」と吐露していたので、もしかしたらどこか新しい場所でブログを開設しているのかもしれない。

このレジェンドブログ(勝手にそう呼んでいる)に限らず、僕が読んでいた闘病ブログのほとんどは、現在は閉鎖あるいは更新が完全に止まってしまっている。

やはり、面倒な病気を抱えながらブログを長く継続するのは難しいのだろう。

僕が潰した闘病ブログも、誰かが読んでくれていたと想像すると、ちょっとだけ胸が痛くなる。

病気について書くのなら……

あくまで僕の提案だが、持病について書きたいのなら、雑記ブログのカテゴリーの一つとして、「ここぞ!」というときだけ記事にすることをおすすめする。

少なくとも、ブログのタイトルに病名を入れるのだけは避けた方がいい。

たとえ闘病ブログのつもりで始めるとしても、後で気が変わったときに別のテーマの記事が書けるよう、プロフィールなども含め、病気であることは前面に押し出し過ぎないのが賢明である。


闘病ブログを書くことも、ブログで稼ごうとすることも、どちらも悪いことではない。ただ、両者を結び付けるからややこしくなってしまうのだ。

もしブログで稼ごうと思うのであれば、病気のことは忘れて、熱中できる趣味や専門分野を見つけ、その道を究めてほしい。

みなさんの健康と健闘をお祈りする。

自己紹介

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実家暮らしでゆるゆる生きる20代。趣味は読書と英語学習。平穏で持続的、かつちょっぴり知的な生活が理想です。プロフィール画像は、折り紙のクジラ。

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